摂食障害を患う方の心の動きが私小説の形で丁寧に綴られています。また、解離という非常に難解な症状も比較的わかりやすく描写されています。過酷な人生をここまで生き抜き、自らの力で摂食障害を克服し、前を向いて歩きだされた作者の姿に希望を感じました。
摂食障害をはじめとした心の病と闘う方々、それを支えるご家族や友人の方々におすすめです。
「おとぎ話の世界から…SWEETな歌声。」とあるが、この凡庸なキャッチコピーは、本作について適切なものであるとは思えない。それはある種の切なさを伴ったものであり、敢えていうなら「センチメンタル・ヴォイス」という事になろうか。
全曲が「ボク」という一人称で綴られているのだが、それが彼女の理想とする男性像なのか、或いは通り過ぎていった男達を指すものなのか、知る術はない。歌詞を見てみよう。ココロ、ヌクモリ、キモチ、キミ、アイ、キボウ、ユメ、ユウキなど、重要と思われる言葉が、やはり片仮名である。収録曲の
タイトルも全て片仮名である。その理由を"漢字を知らないから"とするのは愚の骨頂というものであろう。そうして改めて聴いてみた時、また何かが見えては来ないだろうか。
2曲目の「カシュカシュ」は一部が早口言葉として構成されており、注意が必要である。カラオケで披露する際には、事前に十分な練習が求められよう。
所々に刹那的な言葉が散りばめられた本作であるが、特筆すべきなのは3曲目の「ゼロ」である。"ゼロ"という
タイトル、そして"ボクは戻ってくるよホタルになって"に代表される歌詞など、先人達の犯した過ちを痛烈に批判したメッセージであるという捉え方も出来よう。そうした時、これはもはやパンクである。
一人にすると危うい女性。二人きりになるとなお危うい。その心の奥底には、静かに燃えるパンク・スピリッツがあるのかも知れない。
AYA YAZAKI、待ったなし。2ndのリリースが楽しみである。