ナチ占領下でこの大作を創った
フランス人の政治力に驚嘆。監督マルセル・カルネはいかなる人物であったのか。
作品への驚きは二つ。
1:
パリの下町の庶民が生き生き。これはナチズムの映画としての戦いとみた。
2:パントマイムという最高の芸をみることができること。
パントマイムを演じるパチスト(ジャン=ルイ・パロー)、美しい女性ガランス(アルレッティ)との純粋愛。とにかく、パチストの芸に感動!
最後は女が去っていく。群衆にまぎれて、追い求めるパチスト...。
実に3時間。2部構成。
最高の作品。とくにパントマイムを演じるジャン=ルイ・パローには、驚きをあたえられること必至。死ぬまでに一度は観ておかないと...
「天井桟敷の人々」は1945年、「嘆きのテレーズ」は1953年公開のモノクロ映画です。「天井桟敷の人々」が、ある映画のランク付けをしている本で1位と評価されていたので、どんな映画か観てみたいと思い購入しました。いい映画だと思いますが、私の評価は1位ではありません。
この作品は、圧倒的な評判を集めて今や記念碑のような扱いをうけているのではないかと思います。
後の映画作品はおろか、舞台演劇等に幅広く影響を与えているのが一度ご覧になれば判ると思います。
少し映画を齧った人ならば、まずこの作品をベタボメします。
そういうことで、いつの間にか敷居が高くなってしまっていますが、改めて拝見してやっぱり良かったですね。
パリの雑踏。猥雑さ。パントマイム。一目ぼれの相手。結婚して子供ができても、6年ぶりに再会してわれを忘れて追いかけてゆく主人公バチスタ。
シャンソンのような恋。何もかもが憧れの対象です。
今の映画の技術に比べると古めかしさはあるのですが、逆にそれが芸術的に思えてしまうのです。
映画の中ですばらしい舞台劇があります。舞台劇というのは時空を超えますね。
そのせいか、輝きが増すことはあっても衰えることはないです。
本当に
フランス映画というのはハッピーエンドではないんですね。雑踏に埋もれてゆくラストシーン。
人生のほろ苦さを漂わした大人の映画だと思います。