よい作品とは、思想性やメッセージ性といった「文学」的な性質と

エンターテイメント性の適度なバランスの上に成り立つものだ、というのが私の持論です。

「文学」性が弱ければ「軽い」、一度読めばもう充分、といった内容になってしまい、

エンターテイメント性が弱ければ読みにくく、また読み手を選ぶものになってしまうでしょう。

この点で、この作品は優れたバランス感覚の上に成り立っていると思います。

とは言え、他の方のレビューを見ると、やはり読み手を選ぶ作品である事は確かなようです。

理由はおそらく、この作品のテーマが「ダメ人間」である事に起因するのかと。

自分のダメな部分を自覚し、嫌悪している人にとって、この作品はあまりに痛々しいでしょう。

自分のダメな部分を自覚せず無意識的に嫌悪している人は、この作品を読んでもイライラするだけではないかと思います。

ダメな部分のない人（そんな人いるかどうかは別として）にとっては、単なる娯楽にしかならないでしょう。

結局、自分のダメさを自覚し、かつそれを自嘲できる「ちょいダメ人間」が、

時に主人公をあざ笑い、時に主人公に共感しつつ、最も楽しく読めるのではないかと思います。

蛇足ではありますが、話の本筋とは別に「日本ひきこもり協会」という発想には感心しました。

現実にも同様に、何かを「敵」と見なし、それに立ち向かうヒーローを演じる事で

現実逃避する人達がいますが…いやはや、この点でも深く考えさせられる作品です。

最後主人公は、痛みも、悲しみも、諸行無常を超克し、仏教的な無の境地に到達した。否、それどころか、どこにも空(エア)すらいなかった。仏陀ってレベルじゃない。滝本先生は、虚空の境地に到達したのではないか?

テレビアニメ『Ｎ・Ｈ・Ｋにようこそ！』の音楽ＣＤです。アニメのオープニングテーマ、エンディングテーマ、挿入歌、ＢＧＭをつめこんだ豪華版。

作中で流れた聞き覚えのあるＢＧＭや、こんな曲あったかな？　と少し考えてしまうようなＢＧＭもありますが、ＢＧＭを聞いていると自然に脳内にアニメの１シーンが浮かんできて、とても楽しい気分に浸れます。

テーマ曲である「パズル」と「踊る赤ちゃん人間」は収録されているものの、２番目のエンディングテーマである「もどかしい世界の上で」が歌なしというのが個人的に残念でした。ピアノによる演奏も良いものですが。

ボーナストラックとしてプルリンちゃんのテーマソングの電波ソングver.が入っているのも、評価点？

この話の主人公は自分に自信が無いようでひきこもっています。

しかし周囲の人たちに支えられながら少しづつかっこ好くなっていきます。（あくまで私の主観）

テーマは「周囲の人たちの大切さを知る」ってところではないでしょうか。

周囲はことあるごとに主人公を見守り成長させてゆきます。（あくまで主観）

登場人物は皆自分の考えを持っていて、（主人公含む）それぞれの想いが絶妙に交じり合い、見ている者を飽きさせません。

彼らは素晴らしい栄光を手にすることでしょう。

最終話が終わっても更に続きが見たくなる良作です。

自分はこの本のあらすじを見た時、まーたボーイ・ミーツ・ガールかよ、
滝本さんはこれしか作れないのか？と思っていた。それでこの本には興味が暫く無くなっていたのだが、
ふとしたきっかけで読んだ。　驚いた。作者曰く6年くらいこれを書くのに掛けたらしいが、
それに相応する非凡な出来だったと思う。
NHKにようこそ！・ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂとは全く違った新鮮な感覚になれると思う。
後半からの展開が秀逸だと個人的に思うので前半を微妙に感じてもぜひ読破してほしい。