かなりシリアスな展開が続く本編とは異なり、楽しい仕上がりのドラマを72分以上も収録している。そのうち50分近くを占める「岩!岩!ザ・レッドガーデン」ではロック!ロックな前期EDに至るまでのサイドストーリーになっていて、メインキャラだけではなく、EDに登場している声のある人のほぼ全員(つまり理事長以外)や、出てないエルヴェやアンナやエミリオにも出番があります。
全体的に、監督による脚本ならではのバランスの良さというか、キャラを暴走させつつも雰囲気を壊していない感じ。「私を岩盤浴に連れてって」「ドキ'ドキ'
魔女っ子ケイトちゃん!」とか、聴く前はどんな寒い話が来るのかと、正直なところ思っていたんですが、ちゃんと赤庭の世界観の中ではっちゃけさせているのがいい。ルーラに対する悪口なども、実際こんなこと言ってそうな感じがします。
なお、「☆Rock the LM.C☆」などの楽曲は収録されていません。
アルバムの内容ですが、「翼の折れたエンジェル」等の名曲をリアレンジした8曲に、越路吹雪さんで有名な「愛の讃歌」等、新曲3曲を加えた11曲で構成されています。嬉しいのは、名コンビであった高橋研さんが全曲アレンジャーになっていることで、やっぱり、中村あゆみさんにはこの人のサウンドが一番合うなあと思います。声は、ほんの少し変わったようですが、歌に込められたパワーは相変わらずで、高橋研さんの作るサウンドとも相まって、80年代同様、元気をもらえるサウンドになっています。彼女のファンだった方には是非お奨めしたいアルバムです。
本作の主人公は、賢妻として有名な山内一豊の妻、千代である。司馬の作品群で女性を主人公にした長編は大変珍しく、これ一作ではないかと思う。(短編では「おれは権現」など佳作が多数ある)
山内一豊の凡人ぶりと千代の人並み外れた才覚の対比が大変ユーモラスであり、奥方に尻を叩かれて必死に戦場を駆け回り出世を目指す亭主の姿がなんともほほえましい。彼の凡人ぶりは本当に情けなくなるほどではあるが、個人の勇猛や才覚だけが男の美徳であったこの時代に、自己の無能を自覚し妻を重んじたことは、ある意味で非凡であった、といえるだろう。
司馬40歳から41歳にかけて地方紙に連載された作品である。並行して「国盗り物語」や「竜馬がゆく」などを執筆中であり、初期の頃のこれら作品に共通して見られるわくわくするような夢と冒険と少々エロティックな艶っぽさが本作にも十二分に発揮されている。
主人公たちが秀吉や家康のような英雄ではないから物語としては幾分地味ではあるが、若々しい夫婦が力をあわせて人生を切り開いていく躍動感がまぶしい。初期の頃の若々しい司馬作品が堪能できる一品である。