この作品が放映された頃は、まだSFロボットアニメという
ジャンルに力があった時代で、近い時期には未だに名前が残る
ようなシリーズ物から、かつての作品のリメイクや続編などが
続々放映されていたタイミングであったと思いますが、そんな
中で、完全新規
タイトルかつシリーズ化もされない、あまりに
も独創的な作品が、このアイアンリーガーでした。
ロボットアニメの皮をスポ魂物に被せる事で、通常のロボット
アニメにも、スポーツアニメにも出来ない境地を切り開いた恐ろ
しく野心的な作品に仕上がっています。
そして、只の実験作に止まらず個性的なキャラや斬新な技の応酬、
場面によってはベタであっても時代を超えて愛されてきた馴染み深
いストーリーなどが大きな魅力の一つでもあります。
ウィンディの真っ直ぐさ、リュウケンの健気さ、GZの渋さ、アーム
のたくましさ、ワイルドホークの格好良さ(個人的な贔屓)などを
多くの人に知ってほしい、そんな一作です。
疾風!アイアンリーガーのシルバーキャッスルの面々が歌うキャラソン集です。
歌がうまい方がシルバーキャッスルには揃ってるので、歌は良質です。
でもまぁ、 「唄 松本保典(マグナムエース)」 と書かれてるだけあって
基本的にマグナムエースやマッハウィンディが唄う歌ではなく、
声優さんが歌うイメージソングだと思った方がいいかも。
ただし、最低限のイメージはきっちり守っています。
それ故、山口勝平氏(極十郎太役)と小杉十郎太氏(トップジョイ役)
普段あまりやらないような役をやったこの二人の歌はとても珍しいと思います。
あの、明るく元気な山口さんが、とても静かに極十郎太みたいに歌います。渋く。
あの、低音バリバリの小杉さんが、きっちりトップジョイの声で歌います。明るく。
あと、あんまり茶風林氏の唄う歌なんて聞かないので、それもポイント?
解説なども
疾風!アイアンリーガーの世界を大切にしてて
とてもいいキャラクターソング集だと思います。
ですが、1つだけ言いたい。
「なんでブルアーマーだけ、絵がジェットセッターなんだァァァァッ!!!
違うキャラで紹介するなぁっ!ブルアーマーにはファンはいないと思ってんのか!
俺はブルアーマーが好きだぞ!悪いか!!」
今回の廉価版DVDの発売という慶事につけても、アミノテツロ監督作品の真の凄さが分かるのは、作品放映の10年後、15年後だとしみじみ思います。
人間によって造り出されながら、心荒んだ人間達より遥かに純粋で人間らしいロボット、アイアンリーガー。暴力や権力の魔性に溺れ人間らしい心を忘れた人間達を、リーガー達がスポーツという非暴力の武器、熱い団結と命がけの戦いで目覚めさせます。こうした設定には、チェコの作家カレル・チャペックの名作『ロボット』をも髣髴させられました。
ワールドシリーズ編においては、これまで迷いのない高いリーダーシップを発揮してシルバーを引っ張ってきたマグナムが、強敵ファイター兄弟との出会いによって初めて行き詰まり、迷い苦しみます。しかし、マグナムには共に戦う友が・・<無口な視線で励ます友>たちがいました。
「心を・・心を白く!」シルバーとの戦いを経てすっかり真っ直ぐないい眼をするようになったゴールド三兄弟や、シルバーの仲間達−特に十郎太の彼らしい、厳しくかつ信頼溢れる檄を受けて、マグナムは迷いの霧を払い、新たな魔球を生み出します。
そして、シルバーとダークスワンとの最後の熱戦。理想を捨てずに、信念を曲げずに、相手の善性を信じ抜いて正々堂々と戦ってきたシルバーキャッスルが、その熱いプレーで敵をも味方に変えていきます。<至誠、天に通ず>という言葉が相応しい、粘り強く忍耐強く、冷厳な現実と戦っていく勇気と希望をくれる涙の最終回です。当時本当、感動ともうマグナムたちに会えないっていう寂しさで放映終了後1時間位泣きましたからね・・。
そして・・。
ドイツの哲人いわく<人間の名に値する生き方をしようと思う者に、人生は戦いを免除してはくれない>−−ダークと戦っていた時とは形を変えた試練がシルバーキャッスルを襲う、OVA「シルバーの旗の下に」も必見です。
未見の方のために詳述は避けますが、マグナムたちの歩む道の険しさを新たな角度から痛感させられる、ある意味衝撃の展開です。アイアンリーグを巡る人間達の思惑、世の中の大きな流れから、リーガー達は自由ではありません。OVAでは主人公とも言うべき重要なキーキャラクターとなるマッハウインディを始め、シルバーの仲間が皆それぞれに悩みもがきながら、自分で納得のいく答えを、<本当の夢>を探求しながら、自分自身が正しいと思える道を選び取り、歩み始めます。容赦なく突きつけられる現実の厳しさ、そしてシルバーの、リーガー達の絆の熱さ。半端で甘っちょろい内容の続編を作らないところ、本当に誠実な製作
スタッフ陣だと思います。
<青春の誓いを守りぬける人が、人間としてもっとも偉大な人である>−―苦しい現実が北風のように理想の灯を揺らしても、誓いの旗を掲げて、私もマグナム達の様に粘り強く戦い、理想を描く勇気を失わずに生きていきたい。それが、この素晴らしい作品を与えてくれた人たちへの恩返しでもあると思います。
熱血アニメ好きは、人生に宝物を増やすチャンス!!ぜひご覧ください!!