彼女は1894年にテネシー州、チャタヌーガで生まれ、9才から舞台で歌いはじめ、クラシック・ブルースの女性歌手の元祖でした。ちなみに伝説の歌姫と呼ばれるビリー・ホリデイが1915年生まれですから、ビリーより21才の年長です。彼女の残したブルースの数々は今日まで尾を曳き、この"Careless Love" の歌はマデリン・
ペルーをはじめ、ロック初期の女性歌手 ジャニス・ジョッ
プリン、ソウルの王様 レイ・チャールスも歌っております。このベッシー・スミスが歌った歌の数々を聴きますと、ブルースというところの意味が深く感じ取られますよね。またこれらのレコーディングには若き日のルイ・アームストロング、
コールマン・ホーキンス、ジャック・ティガーデン、ベニー・グッドマンをはじめとする錚々たるメンバーがバックをつとめており、
ジャズの源流がブルースであることを、我々に知らせてくれます。
コロンビアで録音された1923年~33年までの選りすぐりの36曲が納められています。日本の大正末期から昭和8年までの時代、実に今から80~70年も前の曲ですが、ベッシー・スミスの歌声は正に永遠の輝きを持って魅了し続けます。その分かりやすいメロディラインと魂の通う歌声の魅了するもの、それは単に音楽的に聴いていて心地よいなどといった問題ではありません。南部から生まれ北上していき、白人の中へと入っていった黒人音楽の記録が、ここにはありのままに残され、そのドキュメントを目の当たりに出きる感動が息づいてているからなのでしょう。そんな36曲を存分に聞くことの出きるCD2枚組みです。