破壊ではなく創生で勝て!軍事ではなく技術や経済で勝て!
という熱気が伝わってくる作品。
そして、そのテーマを(脚色した一面があったとしても)綺麗ごとで済まさずに描いてくれました。
誰もが戦争で苦い体験を負い、戦後復興の中で新しい時代に向けて立ち上がろう足掻く。
そんな人々の間でも生き残りをかけたせめぎ合いが起こる。作品カラーは違うものの、
主演である
佐藤浩市氏の父・三国廉太郎氏が出演した「飢餓海峡」を思い出してしまいました。
佐藤氏の他にも「半沢」とは異なる銀行員(それでいて単なるイイ人ではない)を演じた香川氏や
総裁役の中村氏など実力派俳優達が当時の人々の情熱が乗り移ったような熱演を発揮しており見ごたえがありました。
源氏四代にわたる血のつながりを綴った作品との謳い文句に興味を持ち、本書を購入しました。
4つの連作短編が、源氏四代の悲しみを浮き彫りにしています。
まず「無明の将軍」では、三代将軍・実朝が暗殺され、頼朝の三男・貞暁が四代将軍に就任するよう
北条政子に命ぜられるが、これを拒んだ話です。
時系列では、この話が最後になります。
次の「平家の封印」は、壇ノ浦で生き延びた平時忠が、義経を利用して鎌倉と対立させ、
そこから平家の再起を図ろうとした話です。
次の「奥羽の風塵」は、頼朝が
奥州藤原氏を滅ぼし、前九年の役に倣って
源氏の棟梁たることを知らしめた話です。
最後の「源太の産衣」は、三代将軍・実朝が、自身の虚弱さゆえに
源氏の血統が途絶えることを憂いた話です。
僅かながら賛同できない描写や、不要と思われる話題がありましたが、
どの話にも興味深い指摘があり、高橋史観を楽しめました。
特に、実朝が官位を求めた理由は納得できました。
鎌倉幕府草創期に興味のある方にお勧めします。