アウトランダーの名脇役LJGが、
探偵のように活躍するスピンオフ小説もこれが3冊目。
私としては、本編ほど引きつける魅力は無いな…と思いつつ、アウトランダーの大ファンでジェイミーとクレアをこよなく愛しているが故に読んでいると言うのが正直なところなので、今作を手にして初めて訳者が加藤先生になっている事に気づき、
これは、もしやジェイミーが一杯出てくるのでは?と、期待が数段上がるのを感じながら読み始めました。確かにジェイミーが沢山登場します♪ LJGとダブル主役です。今作で、二人の友情がどのようにして芽生えたのかが描かれています。
時は1760年ジェイミーが湖水地方ヘルウォーターで厩番として働き、ウィリーが2歳になっています。 突然、LJGの兄ハルの住む
ロンドンの邸に連行され、LJGと共にアイルランドに旅立つ事を命じられます。ジェイミーは囚人なので、自分の意に反することであっても従わなくてはならず、ジャコバイト…、かつての友を裏切る事に苦悩します。
ジェイミーのクレアと子供に対する想い…、彼の祈り…、彼の悲哀が全編に溢れていて辛いです。ジェイミーがクレアと再会した時に言ったセリフ「辛い 辛すぎるサセナッフ」を思い出し、彼の辛い気持ちを噛みしめ、頷きながら読み進めました。
ウィリーの存在、ウィリーを見守るジェイミーの想いは切ないです。
ガバルドン先生はどれだけジェイミーを苛めたら気が済むのでしょうか!!!
「あぁ、ジェイミー!! あと、約5年後にクレアは戻ってくるからね!! ブリーにも会えるからね!!」と語りかけながら読み終えました。
読後の感想!! これは、時の彼方の再会「ジョーディじゃないわ。わたし。クレア」のページから再読し、ジェイミーの心からの笑顔を見な(読まな)ければ…!!の一言です。(笑)
マイナス★1つは、本編の面白さには及ばないので…。
主人公が弱いという意見があったので、あえて記載しましょう。
指輪物語の主人公は、恐らくこの物語の中で最強に近い人物です。
確かに彼は剣がうまくありませんし、魔法も使えません。大食いでビールとパイプが好きで、楽観的です。弓を引くにも彼らホビットは小さすぎます。
でも、彼はボロミアを誘惑し、ガンダルフを困惑させ、エルフの長も、実の叔父(偉大なる
冒険者)までもを魅了した「1つの指輪」に最後まで抵抗し続ける、大変「強い」人物なのです。
観客席の皆さんの中には、シュワルツネガーの様に主人公が暴れなければ納得できない向きもありましょう。しかし、人間の本質的な「強さ」と言うのは腕力や生来の特質に左右される物ではなく、己の心に起因するものなのです。幾ら腕力に優れていても…権力を握っていても…それに溺れてしまうのは弱い人間です。
なぜこの物語が名作として尊ばれ、今の世に残っているのか…それを考えて最終章までご覧になって下さい。