性懲りもなく、喧嘩別れを繰り返す、腐れ縁の二人。
純真でまっすぐ なトニー・レオンとジゴロのようなレスリーの歯痒い愛。
クリストファー・ドイル独特のカメラワークでスクリーンはカラーになったり白黒になったりを繰り返す。それをピアソラのタンゴが冷ややかに彩っている。この映画のなかで、チャンがタバコをもらい火するシーンが印象的だ。温かいオレンジの灯を通してチャンの蒼白い端正な顔が浮かび上がる。そして目を閉じると長い睫毛が影を落とす。彼のすべての仕草が媚びを売っているようで、観ているだけでドキドキしてしまう。
一方、トニー･レオンは一見すると大人の渋い男なのにふとした瞬間少年のような愛らしさを見せてくれる。保護欲が強い分、制服欲も強い。最後に出てくるイグアスの滝が彼の内面を表しているかの如く激しい。こんなに役になりきっているトニー・レオンだが、現地に着くまで自分がゲイ役である事を知らされていなかったという。
レスリー・チャンを亡くした事は香港映画界にとって大打撃だろう。
この映画のラストを観ているとチャンの最期はああだったのかと気が滅入ってしまう。

トラベルワールドクロック が必要になり購入しました。目覚まし機能と海外時間が表示できて重宝する気がしています。

星の王子さま自体は何度も読んでいるものの特別大好きな本ではありませんでした。
けれど、このナレーションＣＤ（むしろドラマのようです）には思わず聴き入ってしまいました。
子供の頃に本を読んだ時は、「おうじさまがしつもんをいっぱいしてボクをこまらせてる。おうじさまはちょっとなまいきなんだ」と思いました。大人として読んだら多分、王子さまは純粋なんだととったでしょう。でも当時は王子様は勝気（という人は知っていても言葉は知らなかった）なのだと思いました。
大人になってから読んだ時は、30分もかからず読めてしまうものの、色々なモチーフが効果的に使われ、寓話としても解釈がたくさんあり良い本だなと思っただけでした。

しかし、このナレーションＣＤを聞いてその評価が変りました。王子さまは、純粋なだけでなく、ひたむきで必死で、これは『僕』も関わらずにおけないと思いました。また、王子様に比べどこか印象の薄かった『僕』も杉田さんの熱演により素晴らしい存在感を得ています。砂漠で生きるか死ぬかの状況に置かれ、飛行機を直しながらも王子様の質問のあれこれに応え、その話を聞いてしまうパイロットに杉田さんはぴったりだと思います。またところどころに挿入される『僕』の過去のエピソードを語る口調もしんみりしていて思わず聴き入ってしまいました。ラストは思わず目が潤みました。メインの二人以外のキャストも素晴らしかったです。高飛車な薔薇が態度を改めるシーン、疲れた声、あるいは精気のない声、「大人の」声をした登場人物と王子様のやりとり、王様や狐、蛇との会話・・どれも心に残りました。

まだこのナレーションＣＤを手にしていない方がいらっしゃるなら、ぜひ手にとってみてください。
またこんなＣＤがあったら手に入れたいと思います。杉田さんが好きなので杉田さん目当てだったのですが、他のキャストさんのＣＤでも少し心が揺れますね。杉田さんが出演していらっしゃるなら買ってしまうと思います。この会社のＣＤはこれから要チェックです。