一聴して、このアルバムこそ(以前アルバム
タイトルにしていた)「私小説」と付けたほうがいいんでないか?と思いました。個人的な感情を普遍的なうたにしようとしている印象を持ちました。出来ているかどうかは、聞き手に多く委ねられている気がします。そういう意味では、聞き手を戸惑わせつつ、撥ね付けない作品ではないかなぁ。
「忘却」と言う歌があるのですが、寂しい歌です。後悔はないと言い切れるとしても。
よく聴くと怖いこと一杯歌っています。でも、リアルさが伝わってきます。薄っぺらで、大袈裟に騒いでいるようなものではない、リアル=実体があって、重い。そんな感想です。
アイドルとしてデビュー後、
メジャーなヒットがないのに20年以上も活動を続けている稀有なアーティスト「鈴木祥子」。
このDVDは、彼女の創作活動の舞台裏をドキュメンタリー
タッチで記録したものである。
昔「自分探し」という言葉が流行ったことがある。当時は「今の自分は本当の自分ではない。どこに行けば本当の自分に出会えるのか」と言いながら旅に出たりする若者がいたものである。
このDVDで鈴木祥子がやっていることも「自分探し」かも知れない。違いは「今の自分は本当の自分である。自分の起源はどこにあるのだろうか」ということである。
ミュージシャンの創作活動をドキュメンタリーにしたものは色々あるが、内容的にはかなり「よそ行き」の姿である。一方このDVDは「こんなにスッピンで良いの?」と言いたくなる。アーティストのドキュメンタリーとしてはかなり希少価値があると思う。
とても良かったです。歌唱が、ぶれない。なんといいますか、この曲はこう歌うしかなかったんじゃないかなぁと各々の曲を聞いていると思わせられます。血を流しながら歌ってるんじゃないかと思うくらいその人にしか見せられない芸術を見た気分。これ褒めすぎか?
その人にしか見せられないもの、自分の中にある、これしかないもの、それを取り出し、多くの人が感情移入出来る様に表現する、そんな態度。そういうものを見せる人なんだなぁと思いました。