採用して欲しかったのは"悪魔絵師”であって山井ディレクターの趣味の特撮関係の大御所じゃないんですよ。
私はアトラスで女神転生を作るような人達、特にディレクターになるような人にはきっと悪魔にも拘るような人だと勝手に思って外注悪魔絵師容認なんて考えてましたけど、間違いでした。
この真・女神転生4は確かに面白いです。でもやればやるほど本当に悪い印象が頭に残るんです。
何で悪魔のステータス数値はあんなに均等数値になってしまっているんですか?
女神転生の売りは世界中にある神話伝承の個性的な悪魔達じゃありませんか?
それに拘って今までやってきたんじゃなかったんですか?
それを失くしてくことが女神転生の革新なんですか?
というか4で批判されてる部分って革新というより山井ディレクターの特撮趣味が反映され過ぎた所なんじゃないんですか?
外注絵にしても他のRPGでなら、他の
ソーシャルゲームでならそのクリーチャーにどの悪魔の名前をつけてもいいかもしれませんけど、女神転生のシリーズは世界中にある神話伝承の悪魔や神様、天使なんかの個性を表現してナンボだと思うんです。
「う〜ん、見て!この強そうなの!カッコイイでしょ!そうだなぁ、、これはラスボスっぽいからルシファーかなぁ」とかそんな表現では当然批判が出ると思うんです。ルシファーのあの腕の部分って何か神話的な意味があるんでしょうか?リリスがゴキブリっぽいのは何か神話的な背景のイメージがあるんでしょうか。
そもそも物語とも合ってない。リリスが知恵を与え、リンゴを与える誘惑者であるなら蛇をモチーフに使った金子版リリスの方が神話的な背景からも合ってるはず、多分シナリオを書いた時点では金子リリスをイメージしていたはず、それでも大御所で大好きな先生だったから出てきたデザインにNOは言えませんでしたか?
○○○としてでてくるルシファーだって多分金子版ルシファーを当初はイメージしていたのでは?
それよりも山井ディレクターの「特撮界の最前線で働いている方々と一緒に仕事をしたい」という要望を反映させることの方が重要でしたか?
私は正直言うと酷評されてる四大天使のデザインはそれほど嫌いではないし、メデューサも初めは「うわっ」と思ったけれど、全体像を見ればそれほど悪いデザインだと思いません。
顔が…マンガ過ぎて好きになれないだけであれデザイン貰ったあとに少しだけ金子チックに修正してたらいいデザインだったしいいポーズだったと思います。
ゴキブリチックなリリスだってあれはあれで嫌いじゃないんですけど、ストーリーに全く合ってないし、他のキャラともコメント枠のデザインともあってなくて本当浮いた印象しかないんですよ。
なんであんなペルソナチックなポップなデザインなのにグロクリーチャーなんですか?
それよりも山井ディレクターの「特撮界の最前線で働いている方々と一緒に仕事をしたい」という要望を反映させることの方が重要でしたか?
個人的に一番受け付けなかったのはB級ご当地ヒーローみたいな
ヤマトタケルのデザインが最低だと思いました。
あんな…金子さんも特撮もの好きだったと思いますけどあんなまんまなデザインよく許可出したなと…。
本当にやればやるほど山井ディレクターの特撮趣味がウザく感じられて残念です。
もともとライドウでも特撮臭がしてましたけれど、真・女神転生4はそれに輪をかけて濃いです。
本当誰か止めなかったのか、止める奴いなかったのかと言いたいレベル。
多分岡田さんも金子さんもいなくて『いなかった』んでしょうね。
美術担当の石田さん(ストレンジジャーニーのディレクター)がインタビューの度に「山井さんが特撮好きなので」みたいなことを言うのも「(このテイストは)俺のせいではないよ」と言ってるようにしか聞こえない。
で、よくよく考えてみるとその悪い印象のほとんどがこの山井一千というディレクターの趣味要素から来てるのかなと思い至りました。
「必殺の霊的国防兵器」なんていうネーミングもライドウチックです。「超力兵団」と同じノリですよね。
ライドウは大正浪漫というか、昭和の少年雑誌みたいなノリ(「少年
探偵団」とか「黄金
仮面」とか)をイメージしてるのでそのノリについていけるのですが、真・女神転生4のストーリーには全然合わないというか、いちいち現代東京のヤクザが「必殺の霊的国防兵器」「必殺の霊的国防兵器」言いますか?
台詞も何か「〜王」というフレーズが多かったり、「こんな奴らはじめて見た!」とか「最高の時に死にてぇんだ」とか何だか台詞が安っぽいというか何というか。少年漫画チックですね。
一般の悪魔がおざなりにほぼ砕けた現代語で喋るのに、何故か見てくれ怪人の必殺の霊的国防兵器の方々はやたらと芝居がかった口上を述べる。力の入れようが違いますよ。でもチグハグすぎます。
正直「全国の悪魔好きの皆さんお待たせしました!これが真・女神転生のナンバリング
タイトルです!」というよりも「悪魔なんかよりも俺の特撮趣味を見てくれ!」が強すぎるような気がします。
でもゲーム部分はまぁ前半の難易度と後半の難易度の笑っちゃうくらいの落差を除けば面白いです。でも何か悪魔に愛着持ちにくいし、「この悪魔を倒すのはコイツ作ってコイツ作ってこのスキルとこのスキルは必須かなぁ」というガイドが強すぎてあんまり色んな悪魔をつれて、「繰り返し繰り返し遊ぶ度に仲魔が違ってスキルが違って面白い、何度でも遊べる」っていうノクターンで感じた面白さは感じなかったですね。
スキルを自由に入れ替えできるってのは個性が薄れるけれど「こういう女神転生もたまには
アリ」って思ったんですけど…。
ディレクター曰く「次は十年…二十年後かな…?」というような発言も(会社がアレなこともあって)ありましたが、皆さん的には真・女神転生4はどうだったんでしょうか。
本当に面白いだけに特撮要素的にも会社的にも色々な意味を込めて残念です。
最後に音楽は本当に良かったのでサントラ待ってます!
追記:あと山井ディレクター関連で他に気になったことを書かせてください。
「あるモノに人々の希望を集めてこい」ってイベントが終盤ありますが、これってライドウでもやってませんでした?
何か同じく最終盤くらいで、最後のダンジョン行くためのイベントで。
超力兵団で同じような趣旨のイベントがあったような気がします。
で、確かアマゾンだったかのレビューで「希望とかメガテンらしくない」って書かれてて成るほどそういえば…と思った覚えがあります。
セルフオマージュと言えば聞こえはいいですが、ネタの使いまわしのような気がしないでもないです。
それともどこかにこういうネタが既にあってそれのオマージュとして二回使ってるんでしょうか。
使いまわしと言えば「丸薬を飲んで人々が悪魔に変身!」ってのもライドウのマンガ版でやってた気がするし。
まぁあっちは漫画なので関係ないといえば関係ないのかもしれませんけど。ゲームでも表現してみたかったのかもしれません。
ただ個人的な意見ですが、やはり「希望を集めてくる」ってイベントは見てて寒々しいというか、白け…素に戻っちゃいますね。
苦労してニュートラル行ってこれかよ…的な感情はありました。
でも二回も使うくらいだから好きなんでしょうね。
あと山井ディレクターの作るメガテンではタイムスリップ的な話の展開が必ずありますね。タイムパラドックス的というかパラレルというか。話的にダメってわけではないんですが、あんまりやりすぎるとお話の重みがなくなってしまう気がします。
DLCのMの依頼の奴とか。「へぇ〜なるほど〜こうなってたのか〜」って思う反面、「過去に戻れるなら何でそっちじゃなくてあの時点へ戻らないの?」とか幾らでもつっこめるようになってしまうというか。
面白い女神転生を作れる人だと思いますが、他の方が書かれてた通りもう女神転生に関わって欲しくないと思います。
本人も会社の状態を見るに自分がもうメガテンに携わることはないと思って思うが侭にやってみた、ってところもあるような気がしますが。
何かメガテンファンに向けて作ったというよりは、一緒に携わった特撮界の大物に向けて作ってるような気もします。
今回の真・女神転生4は自分の集大成、“山井一千メモリアル作品”って感じがしますね。面白いんだけどそれがどうも鼻につくような印象です。