フランス語を理解して、読んでいるんでしょうか?文学作品などにおいて、翻訳はある意味、翻訳者による“加工”です。つまり、翻訳では作品の本質に迫るのは、到底不可能だと思います。ランボーも同様です。
フランス語がわからないのに、翻訳者の巧拙を言ってる人が万が一いたら、その前に
フランス語を勉強することを勧めます。けど、世界観的に、やっぱアルチュールよりジョンの方がいいな。
世間では「ランボー=筋肉マッスルな撃ちまくりアクション映画」というイメージが
あるかもしれませんが、この第一作だけは全く異なる方向性の作品です。
地獄の
ベトナム戦争を生き抜いた、元グリーンベレーのランボー。
やっとのことで祖国アメリカへ帰ってきた彼を待っていたのは
安息の日々でも気さくな隣人たちでもなく、
ベトナム帰還兵への「差別」だけでした。
仕事も行く当ても、寄る辺すらもない彼は、放浪の途中で立ち寄った町の保安官に目をつけられ
あろうことか逮捕されてしまうのですが・・・。
この映画はなんといっても、
ベトナム戦争後のアメリカの病巣を鋭くえぐった
社会派アクション映画だ、ということに尽きます。
自由と平等を標榜する故郷の人々からはゴミのように扱われ、
仲間も生きがいも全てなくし、戦時中のトラウマを抱え、なおかつ周りは敵だらけ。
この現実に、それでも必死に抗おうとするランボー。
ラストを飾る、哀しくも情熱的なエンディングテーマとあいまって
何度観ても涙腺が緩んでしまいます。
未見の方は、当時の社会状況を知った上でご鑑賞ください。
このまま埋もれてしまうには、余りにも惜しい。