前作ベルガリアードに続くエディングスのベストセラーで、80年代を代表する世界的にも有名なファンタジー作品。ファンタジーの古典としては指輪物語が有名で、その古典を正当に受け継いだ作品としてドラゴンランスがあるが、ベルガリアード、マロリオンと続くこのファンタジーは、古典の流れを汲んだ作品と比較すると、その構成はスピード感に溢れていて、実際的な世界の描写は架空の世界にこの上ないリアル感を与えている。
さて、ベルガリアードの探索行から物語はさらに膨らんで、このマロリオンでは諸国遍歴の様子が描かれている。ベルガリアードを知っているなら、それが単なる冒険物語で終わらないことは分かると思う。王国の危機、政治と陰謀、そして
魔術師や悪魔、世界の運命を決める戦い、これが絶妙のバランスで諸国遍歴物語の中に組み込まれている。そして、エディングスファンタジー特有のユーモアに富んだ登場人物たち、力強い女性キャラクターたちも健在。このマロリオンも期待を裏切ることなく、大団円まで息もつかせぬ展開で読者を導いてくれることは間違いない。