この書籍の購入をご検討されておられる方は、恐らくは、ファースト・ガンダムに
ついては十二分にご存知のこととお察しします。
79年のテレビ・シリーズ(とその後の劇場版3部作)というなにぶん古い作品です
から、現実世界で私たちが日常接している技術の進歩や、以後のガンダム世界での
設定補完を踏まえて、それらと整合を取りつつ、物語の解釈を補正することが行わ
れています。
ファースト・ガンダムの物語を駆け足で進む中、各エピソードでの解釈、印象が補正
されていきます。感覚としては、新訳Z 3部作で、新作カットを挿入するなど補正
されていて、見終わった後の後味が変わったのと同じことが本作品で行われています。
駆け足具合は、サイド7からいきなりサイド6(テム・レイとの再会、ララァとの出会い)
まで飛びます。
アムロが感じる再会後のテム・レイ像や、最終話「脱出」での、アムロが
ランチに戻って
くるシーン(アムロだけがニュータイプではないことをよりわかりやすく伝える表現に
なっています)などが読みどころだと思います。
私同様、79年から本シリーズとお付き合いの方もおられるとは思いますが、改めて、
作者自らの手で語りなおされることで、物語の解釈の答え合わせをする1冊になっており
ます。
是非、ご一読ください。