倉本聰作品だからこそ成し得た主演ともいえるが、主演となっても偉大なる脇役のスタイルを貫きとおす演技は見事と言わざるを得ない。新しい作品に接することができないこと、本当に悔しい限りです。
「千の風になって」がヒットチャートの1位になったこともあり、日本中にこの曲が届きました。今またここに、3つの朗読と変化にとんだインストゥルメンタルと合唱が収録されており嬉しい限りです。
演奏では、幸田さと子さんのとてもよく歌うヴァイオリンの演奏に惹かれました。伸びやかで透明感のある音色がどこまでも遠くへ届くようなヴァイオリンです。「千の風」の世界を一番理解して音にのせていると感じました。
フルートの赤木りえさんの演奏も同様に素晴らしいものでした。
名優
大滝秀治さんの朗読はいつもながら味わい深いものがあります。新井満さんの詩よりも原詩に近い訳ですね。
11歳の宮城とわさんによるオリジナルの英詩の朗読によって、原詩のよさをあらためて知る方もおられると思います。世界中の多くの人がこの詩によって幾度となく感涙されたことでしょうから。
少し気になった点は、藤原真理さんの演奏において藤原さんか編曲を担当された上田益氏の好みだと思うのですが、新井満さんの旋律とは少し異なり、上昇音型で1ヵ所半音上げて演奏されています。音楽的に変化をつけられる意図も理解しますが、新井満さんのオリジナルのほうが素直で聴く者には心地よいと思います。個人的には惜しいと感じました。
愛する大切な人との永遠の別れという悲しみのどん底にいる方に是非聴いていただきたいアルバムです。少しでもその方々の心に安らぎが訪れますように。
『
うちのホンカン』『
特捜最前線』『
北の国から』など数々の名作ドラマや映画に出演して独特の印象的な芝居を演じて人々を魅了し、長年舞台や映画・ドラマで活躍し続けた日本演劇界の名優・
大滝秀治!
昨年、映画『
あなたへ』に出演され、その主役である日本の誇る大スター・高倉健さんが一目おく大滝さんとの共演シーンで撮影後に健さんが大滝さんの芝居を見て涙を流された挿話が印象的でした。その公開直後に大滝さんが亡くなられて本日で一周忌〈2012・10・2逝去、享年87歳〉にあたり、本書を手にした次第です。本書は大滝さんの長年の役者人生から培った体験から感じた事を中心に述べられています。
大滝さんは、劇団(民藝)に入って以来、終生舞台を中心に役者一筋の人生を歩まれているが、実際役者として注目されたのが50を過ぎてからだった。映画『
不毛地帯』『あにいもうと』〈以上1976〉でその年の助演男優賞を総ナメにして以降、お茶の間でも馴染み深い俳優としてそれからのご活躍は我々の知ることとなるのだが、そこに至るまでの下積み生活が長く、しかも当初は役者でなく、裏方としての仕事が多かったというから驚きだ。
劇団の創設者であり、日本演劇界の重鎮である
宇野重吉氏(俳優・寺尾聰の実父)から
「おまえの声は、ぶっ壊れたハモニカみたいな不協和音を出す。お客に不快感を与えるから、役者に向かないんじゃないか」
「声が悪いし、見た目かたちもちょっと……。おまえ、二十三だけど、老けてるな」
といわれた当初の大滝さんの役者人生。普通なら、役者として根本的にダメっていわれてるようなものだが、その事についても大滝さん自身が劣等感はなかったが、ただ、役者としての存在が、いつか人に認められる時期が来るのかなと、何度考えたかわからないぐらいあったそうだ。
大滝さんといえば、若い頃から老け顔だったのでその風体から老け役が多く、本人曰く「日本で一番老人の役を演じた」と自負しており、30代40代の頃には50代60代(実年齢より10歳20歳年上)の役をこなした大滝さんは老け顔を武器にして長年役者としての地位を築かれた方でもあるのだ。また大滝さんの特徴ある声についても今では一度聞いたら忘れられない味わい深い印象を持つ高評価を得ているからマイナスと思われていた要素が役者として全て自分の武器として大きな財産になっているから面白いものだ(余談だが、女優の菅井きんさんも若い頃から実年齢以上の役が多くて中年の頃にはおばあちゃん役が多かったそうで大滝さんと同じようにそれを武器にして女優としての地位を築かれて、まさに日本で一番老婆役を演じた女優だ)。
黒澤映画『
影武者』において有名無名問わず出演者は全員オーディションによるものであったが、黒澤明監督から直々に指名があったのは勝新太郎さんと大滝さんの二人だけというその事実だけでも大滝さんが如何にかけがえのない存在であった事がお分かり頂ける事だろう。
読後感として、大滝さんの人柄を偲ばせる言葉が多く、自分の欠点と思われたものを武器にかえてやがてはそれを誰にも追随できない長所としてかけがえのない役者としての地位を築かれた大滝さんに敬意を表したい。自分の欠点をどう捉えるかでそれを長所にするのも自分次第だと教えて頂いているような気がします。
最後に本書のなかで印象に残った大滝さんの語録を記しておきます。
・ 「役者ってのはね、狂気というものを持っていないと、表現できる分野を、ふつうは超えることができないというふうに、ぼくは考えるんですがね。」
・ 「台本の台詞の活字が見えるうちは、まだまだ「台詞」だと。活字が見えなくなって初めて台詞が「言葉」になる。つまり、舞台は言葉だ。」
・ 「自信の上に自惚れがある。謙虚の下に卑屈がある。自惚れは自信過剰、卑屈は謙虚の下。だけど、自信と謙虚のあいだでもって、一生懸命やっていればいいんじゃないかと思うんです。」
余談ですが、私自身、大滝さんといえば『特捜最前線』のおやっさんこと船村一平警部補の印象が強く、なかでも大滝さんが活躍するこの三作品はオススメなので未見の方は是非見て欲しい!
第85話「
死刑執行0秒前!」
第94話「
恐怖のテレホン・セックス魔!」
第118話「
子供が消えた十字路!」
たまたま訪れた大崎下島の御手洗地区で見つけたこの映画のロケの記事に興味を持ち、家に帰って早速レンタルして観ました。ストーリーに、自殺願望の部分があるのが好きじゃないけど、旅の情景や、ロケ地の御手洗地区の風景、それに心に傷を負った人達を暖かく迎える、地元の人達の心配り、すごく和みます。本当の地元の素人の人達も沢山参加されたようですが、俳優の樫山文枝、
大滝秀治、梅津栄、皆さん良い味出してます。最後には皆、元気になって家に帰って行きます。残念ながら余りヒットしなかったようで、レンタル屋さんでは廃盤になっていたので、もう観られなくなると思い、買いました。監督さんもこの映画を取り終えて、若くして亡くなってしまって残念です。何度観ても「ほっこり」、心温まりますよ。また、大崎下島に行きたくなりました。